Homebrew入門:Macでソフトウェアを簡単に管理しよう
初めてターミナルを触る方向けに、Macのパッケージマネージャー「Homebrew」の基本を解説。なぜ使うのか、安全性、インストール方法、基本コマンドまで丁寧に説明します。

プログラミングを始めると、「Homebrewをインストールしてください」という説明をよく見かけます。でも、そもそもHomebrewって何?なぜ必要なの?と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、初めてターミナルを触る方でもわかるように、Homebrewの基本を解説します。
Homebrewとは?
Homebrew(ホームブルー) は、Mac用の「パッケージマネージャー」です。
「パッケージマネージャー」と聞くと難しそうですが、簡単に言えば ソフトウェアのインストール・更新・削除を管理してくれるツール です。
iPhoneで言うところの「App Store」のようなものだと考えるとわかりやすいかもしれません。App Storeを使えば、アプリを検索して、ワンタップでインストールできますよね。Homebrewは、それをターミナル(コマンドライン)で行うものです。
誰が作っているの?安全なの?
「ターミナルでコマンドを実行するなんて、なんだか怖い...」と思う方もいるかもしれません。Homebrewの信頼性について説明します。
オープンソースプロジェクト
Homebrewはオープンソースのプロジェクトです。つまり、ソースコード(プログラムの中身)がすべて公開されていて、誰でも確認できます。
- GitHub上で公開:github.com/Homebrew/brew
- 1,000人以上の開発者が貢献
- 45,000以上のスターを獲得(人気の証)
- 2009年から開発が続いている歴史あるプロジェクト
非営利プロジェクト
Homebrewは非営利団体として運営されています。ボランティアの開発者たちによって維持されており、GitHubやMacStadiumなどの大手企業がスポンサーとして支援しています。
安全性を保つ仕組み
- 審査基準がある:Homebrewに登録されるソフトウェアは、一定の基準をクリアする必要があります
- コードレビュー:新しいソフトウェアの追加や変更は、複数の開発者によってチェックされます
- sudo(管理者権限)を使わない:Homebrewは管理者権限での実行を拒否します。これにより、システム全体に影響を与えるリスクを減らしています
- インストール先が限定的:すべてのソフトウェアは専用のフォルダ(
/opt/homebrew)にインストールされ、システムの他の部分を汚しません
世界中のMacユーザーや開発者が日常的に使っているツールなので、安心して利用できます。
なぜHomebrewを使うの?
「普通にWebサイトからダウンロードすればいいんじゃない?」
確かに、それでもソフトウェアはインストールできます。でも、Homebrewを使うことで、こんなメリットがあります。
1. コマンド一発でインストールできる
通常のインストール手順:
- Webサイトを検索
- ダウンロードページを探す
- ファイルをダウンロード
- インストーラーを実行
- 画面の指示に従ってインストール
Homebrewの場合:
brew install ソフトウェア名
たった1行のコマンドで完了です。
2. 更新も簡単
インストールしたソフトウェアを最新版に更新するのも、コマンド一発です。
brew upgrade
これだけで、Homebrewでインストールした全てのソフトウェアが最新版に更新されます。
3. 安全性が高い
- 怪しいダウンロードサイトを避けられる
- Homebrewに登録されているソフトウェアは一定の基準をクリアしている
- インストール先が整理されているので、ファイルが散らばらない
- オープンソースなので、コードが公開されていて誰でも確認できる
4. 削除も綺麗にできる
brew uninstall ソフトウェア名
これだけで、関連ファイルも含めて綺麗に削除してくれます。
Homebrewをインストールしよう
事前準備
まず、ターミナルを開きましょう。
ターミナルの開き方:
Command + Spaceを押してSpotlight検索を開く- 「ターミナル」と入力
- Enterを押す
インストールコマンド
ターミナルが開いたら、以下のコマンドをコピーして貼り付け、Enterを押します。(もし以下のコマンドで不可能な場合、公式ホームページからコマンドを直接コピーしてください。)
/bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/HEAD/install.sh)"
途中でパスワードを求められたら、Macのログインパスワードを入力してください(入力しても画面には表示されませんが、ちゃんと入力されています)。
インストールには数分かかることがあります。完了するまで待ちましょう。
インストールの確認
インストールが完了したら、以下のコマンドで確認しましょう。
brew --version
バージョン番号が表示されれば、インストール成功です!
基本的な使い方
Homebrewのコマンドは、すべて brew から始まります。
ソフトウェアを検索する
brew search 検索キーワード
例えば、Gitを探す場合:
brew search git
ソフトウェアの情報を見る
インストールする前に、詳しい情報を確認できます。
brew info ソフトウェア名
ソフトウェアをインストールする
brew install ソフトウェア名
インストール済みのソフトウェア一覧を見る
brew list
ソフトウェアを更新する
# Homebrew自体と情報を更新
brew update
# インストール済みソフトウェアを最新版にアップグレード
brew upgrade
ソフトウェアを削除する
brew uninstall ソフトウェア名
実際にGitをインストールしてみよう
練習として、開発に必須の「Git」をインストールしてみましょう。
1. Gitを検索
brew search git
2. Gitの情報を確認
brew info git
「Distributed revision control system」(分散バージョン管理システム)と表示されれば、正しいものです。
3. Gitをインストール
brew install git
4. インストールの確認
git --version
バージョンが表示されれば、インストール完了です!
GUIアプリをインストールする場合
Google ChromeやVS Codeのような、画面があるアプリケーションをインストールする場合は、--cask オプションを使います。
# 検索
brew search --cask chrome
# インストール
brew install --cask google-chrome
「Cask(キャスク)」は、GUIアプリ用のHomebrewの機能です。
困ったときは
ヘルプを見る
brew help
特定のコマンドについて詳しく知りたい場合:
brew help install
よくあるトラブル
Q: コマンドが見つからないと言われる
ターミナルを一度閉じて、開き直してみてください。
Q: パスワードを入力しても何も起きない
パスワード入力中は、セキュリティのため画面に何も表示されません。入力してEnterを押せば大丈夫です。
まとめ
Homebrewを使えば、ソフトウェアの管理がとても楽になります。
覚えておくべきコマンドは、たったこれだけ:
| やりたいこと | コマンド |
|---|---|
| 検索 | brew search キーワード |
| インストール | brew install ソフトウェア名 |
| 更新 | brew update → brew upgrade |
| 削除 | brew uninstall ソフトウェア名 |
| 一覧表示 | brew list |
最初は慣れないかもしれませんが、一度使い始めると、その便利さに驚くはずです。ぜひHomebrewを活用して、快適な開発環境を整えてください!